献立のフレームワーク
最近面白いと感じたWebサービスがある。
献立作成の手助けをしてくれるme:mwe(ミーニュー)というサービス。
ちょろっと使ってみたところ、よくできていると感じるものの、まだまだカスタマイズ性やユーザビリティに不満も残る。
面白いなと思ったのが、献立の作成手順。
普段頭の中でやっている手順と近い部分が多く、それを単純化してシステムにするとこうなるのか、と再発見したような気持ちがした。
こうしたアプリケーションが作成できるということは、なんらかの法則にしたがって献立を決めることが可能だということに他ならず、改めて自分が献立を決める際の手順を整理し、フレームワーク化すれば、今後の献立作成が楽になるかもしれない。
というわけで考えてみる。
※今回は夕食に限定。
そもそも献立の負担とは
個人的には、難しい料理が作れたり、作れる料理のレパートリーが抱負だということ以上に、料理上手を決定づけるのは「献立」と「手際」だと思う。
(何も造り方を覚えていなくとも、インターネット検索が使えるのならレパートリーは無限と言えるし、レシピを見ながらならたいていの料理は誰でも作れるものだ。)
「手際」というのは、経験値の積み重ねによって、意図せずともこなれていき、スムーズになってゆく。
しかし、「献立」についてはどうだろう。
栄養や、テイストなど、多方面にバランスのとれた素敵な献立が思いつくかもしれない。
けれども、食事は毎日する。
自炊率にもよるだろうが、毎回毎回そんな素敵な献立を思いつくだろうか?
いかに素敵な献立だろうと、毎日同じじゃたまらない。
そう、献立は常にマンネリとの戦いなのだ。
慣れによって自然と熟練度が高まる「手際」と違って、慣れているからこそのマンネリが敵となる極めて厄介な代物だと言える。
多くの自炊派にとって、マンネリでない献立を考える手間はそれなりのものだろう。
マンネリを避けるための工夫も取り入れつつ、フレームワークを考え、その負担を軽減したい。
献立の枠組み
me:mwe(ミーニュー)では、献立の基本の形として3皿選ぶことができる。
自分の場合は、それだとやや少ない。
- 主菜
- 副菜1
- 副菜2
- 汁物
- 主食
だいたいこんな感じで夕食だと5皿は作っているが、そこは人それぞれあると思う。
ともかく、何皿でもまず基本の形を決める。
その上で、その枠に収まらない献立を考える。
例えば丼ものや麺類、鍋やカレーなどだ。
それを月単位や週単位で捉え、「毎週1日は基本の形以外の料理を作る」などルール化することによって、マンネリ化を防ぐと同時に考える手間を少しずつ減らしていく。
基本の形の中身
続いて献立の基本形の中身を考える。
まず意識するのは次の3点。
- テイスト・調味料
- 調理法・温度
- 食材・栄養
家庭料理だとありがちだが、例えばパスタに味噌汁だとテイストに違和感がないだろうか?
そこはコーンスープにして欲しかった…とか。
そうしたテイストの統一感も献立の重要な要素の一つだ。
しかしテイストを和食に限定したとしても、鯖の味噌煮、ナスの味噌チーズ焼き、味噌汁、ではあまりに味噌すぎる。メインの味付けに使用する調味料も偏り過ぎないようにしたい。
そして調理法・温度。例えば、カルパッチョととサラダと冷製パスタとビシソワーズ。真夏ならなくもないかもしれないが、全部冷たい料理というのは如何なものか。
白身魚のフライとチキン南蛮とナスの揚げ浸し、といった揚げ物オンリーも人や年齢によってはツラい。
ある程度料理の調理法や温度のバランスは保ちたい。
最後に食材・栄養。豚の生姜焼き、ベーコンとほうれん草のソテー、豚汁、だと明らかに豚過多だ。豚と豚がかぶりまくっている。
腐る手前の食材を一挙にさばく時などはしょうがないとしても、本来はできるだけ色んな種類の食材を使い、栄養バランスに配慮するのが望ましい。
そのようなことを意識しつつ、自分の場合は次のように決めている。
- テイストは和・洋・中(エスニック)の順に献立をまわす。
- 焼き・炒め・煮・揚げ・蒸し・生などの調理法をできるだけ満遍なく使う。
- 主菜は肉を2日、魚介を1日のサイクルをまわす。
- 副菜は乾物・海藻・キノコ類・卵・豆腐など主菜とかぶらないものや、野菜を中心に考える。
基本形におけるマンネリ回避のコツ
このようにして献立を決めていく時、マンネリ回避に有効なのが、「季節」の概念だ。
まずはいわゆる旬食材を積極的に取り入れること。
どのような食材がいつ旬なのか、ということについては次のサイトに詳しい。k52.org
行き詰まったりマンネリを感じた場合は、旬食材を調べて目新しいものをチョイスすればいい。
また、料理についても季節感を取り入れることはできる。
ラタトゥイユは冬にはまず作らないし、おでんはその逆だ。
こんな風にして、料理に季節感を求めれば、少なくともシーズン毎の変化はつけやすい。
ルール化の必要性
細かいルールばっかりで大変!と思われたかもしれない。
しかし、それが大切なのだ。
Web上で無数とも言える膨大なレシピを参照できる今、それをどう組み合わせるか、その組み合わせも無作為に選んでいたのでは膨大になってしまう。
ルールという名の制限をかけることによって、ある程度の指針の元に絞った上で献立を考えることができるようになる。
最終的には、実際に作る数品を選ぶところまで絞らなければならないわけで、ルールはある程度細かい方が絞りやすいのだ。
もちろん、このルールはあくまで絞りやすくすることが目的で設定されたマイルールに過ぎないので、いつ破ってもいい単なる目安のようなものである。
気負わず、自分にとって便利そうなルールを作ることがキモだ。
実際の運用
様々なルールを作った上で、実際にどのように運用しているかということで、自分の場合の実例のようなものを紹介したい。
まず、買い物の段階で、前の買い物の内容とできるだけかぶらないように食材を購入。もちろん旬食材を意識する。もちろん、安売り食材も意識する。
主菜の食材と、テイストをルールから決定する。
(よし、今日は肉が主菜の和食にするか。)
今ある食材の中で、腐りやすいものがあれば、積極的にチョイス。旬食材もあれば取り入れる。
(水菜がそろそろヤバイ、旬食材としては夏のオクラがあるな。)
使いたい食材や調理法などを検索ワードとして、レシピサイトで検索。調理法などがかぶらないように意識しつつおいしそうな和テイストのものを選ぶ。
(前回の肉の日では豚だったから、今日は鶏。"鶏もも 夏"。
水菜はサラダでいいや。主菜が肉だから、何か魚っぽいものとあわせて…"水菜 ちくわ サラダ"。
オクラは味噌汁にでも入れるか。
あと副菜なんかほしいな。常備食材にひじきがあったっけ。)
そんなわけでこの日はこのような献立に。
- 主菜:ネギ塩のスタミナチキン(焼き、肉、塩味)
- 副菜1:ひじきの煮物(煮、海藻、野菜、だし醤油味)
- 副菜2:水菜とちくわの梅マヨサラダ(生・冷、練り物、野菜、マヨ味)
- 汁物:オクラの味噌汁(旬野菜、味噌味)
- 主食:納豆ご飯(豆類、卵)
翌日は 魚介の中華 で同じように。
週末は基本形から外れてそばを。
というような具合だ。
最高の献立!という感じは決してしないが…まぁ無難かなというのが自分の評価である。
さいごに
多くの自炊派の人はどのようにして献立を決定しているのだろうか?
me:mwe(ミーニュー)の登場によって、新たなスタンダードが生まれるだろうか?
食材のアレルギーや好き嫌いの対応、皿数のカスタマイズ、年齢や味付けの嗜好に応じた提案、調理法やテイストの複雑な繰り返し設定などなど、me:mwe(ミーニュー)に期待したいことは山ほどある。
一部は対応済みかもしれない。
とりいそぎ、最初にカレンダーから献立を作りたい日付を選択させるというUIが変わるといいのだが…。
シンプルに日数だけを選択、なんなら食材点数に応じたおまかせ日数をスタンダードにしてほしい。
献立のマイルール、持ってる人は教えてください。
自分の試行錯誤もまだ続きそうです。